第10章 クリスマス②
チャイムが下校の時間を告げる。
独特な甘い香りを身に纏わせた彼はずんずんと先を歩く。
高校生とも言えど男と女。
歩幅の違いに苦しみながらも早歩きで彼を追う。
すると突然立ち止まった彼。
もちろん、急に止まれるはずもなくそのまま彼の背中へと突っ込んでしまう。
『ッ!ごめん!』
ちらりとを見る。
先ほどから彼が何を考えているのか全く分からないといった彼女は、不安げな様子で爆豪を見つめていた。
チッと舌打ちをすれば眼の色は更に揺らぐ。
無造作に彼女の手を取り、指を絡ませた。
こんな時期に手袋をしていない手は冷え切っていた。
否、冷えさせたのは自分かもしれない。
爆「あいつらと出掛けたかったか?」
『だとしたら断ってる。』
爆「俺でいいんか?」
らしくない言葉に爆豪を見れば彼もまたを見つめていた。
らしくない表情を浮かべ。
時折見せる自信なさげな顔。
その頬を空いた手で軽く抓った。