第6章 好敵手
筋トレグッズと化したカートを押しながら手土産コーナーを目指す。
出「でもなんでかっちゃんに?」
『あー………。爆豪君ね、私の好きなものを部屋に置いてくれてるの。だから私も置いておこうと思って。』
出「さんはかっちゃんを大事に想ってくれているんだね。分かり合えて羨ましいよ。」
視線を下に落とした彼の横顔は諦念を抱いていた。
それは大間違い。
幼馴染である二人だからこそ分からない、分かり合えないことがある。
反対に二人にしか出来ないこともある。
つまりは私もデク君も同じ。
『言葉だけが全てじゃないと思うよ。』
出「……?」
『私と爆豪君は拙い言葉で歩み寄ってるけど、デク君にはデク君達だからこそ分かり合えることがあるんでしょ?そうじゃないとあの人は相手にすらしてないと思う。モブ扱い。二人の関係はまさに好敵手、だね。』
まん丸な目を更に丸くして私を見る彼は意味を理解してくれたらしい。
ありがとう、とお礼を言うと真っ直ぐ前を向いて歩き始めた。
『んー、満足!!』
出「あはは、いっぱい買ったね!」
『うん!せっかくのデートだし!』
出「え!?で、デートッ……!!」
帰り道、ドサドサと彼の手から落ちてしまった荷物を拾う。
『放課後デートまた行こうよ。』
出「ぼっ、僕でよければ喜んで!!」
『約束だよ。』
END