第6章 好敵手
ぼんやりと薄暗くなっていく空。
一人で眺めるには少々侘しいものだ。
出「さん!!遅くなってごめん!」
『ううん、大丈夫。じゃあ行こうか。』
肌寒い季節だと言うにも関わらず少し赤らんだ顔から急いで来てくれたのだと察する。
寮を離れ目指すは近くのショッピングモール。
出「さんは何を買うんだっけ?」
『激辛のお菓子と緑茶と炭酸。』
出「あは……。かっちゃんかぁ。」
『うん。ネットで買ってもいいんだけどそれだと味気ないでしょ?』
出「そうだね。自分の目で見て買うのも大事だと思う。」
彼にも同じ質問を返せばオールマイトの新作グッズを買うのだと言う。
何でも飲み物に付いてくるおまけが目当てなんだとか。
その為だけに外出許可を取った彼の行動力は賞賛に値する。
目的を達成する為に食品コーナーへ向かう。
出「僕の用事なんて後回しでよかったのに……。」
『早く買わないと無くなっちゃうでしょ?私のはいつでもいいんだから。』
出「ありがとう!————えっと、あ、これだ!!」
対象商品は炭酸飲料。
『ってことは私の目的も達成出来るね。』
出「え?」
『私が飲み物を買っておまけはデク君にあげる。ね?』
お礼を言い倒すデク君をなだめ、全種類をコンプリートすべくレジに持っていったペットボトルは計16本。
さすがに重い。
まぁ持ってるのはデク君なのだけれど。
『あ、カートがあるよ!これ使おうよ!』
出「よいしょっと!指が千切れるかと思ったよ。次はさんの番だね!」
『うん。確かあっちの方に手土産コーナーがあったと思うんだけど…。』
出「なるほど、そこなら品揃え豊富だからかっちゃんの好きなものもありそうだね!」