第5章 言葉足らず
言われた通り椅子に座りうつ伏せながら視線の先に居る爆豪君を眺める。
あのツンツンとした髪は触れば実は柔らかい。
鋭い目付きも生まれつき。
赤い色の瞳はルビーのように綺麗。
暴言しか吐かない口も素直になれないだけ。
彼なりの優しさや立派な考えがあるのだ。
彼といると自分を取り繕わなくてもいい。
余計な言葉は要らない。
もしかすると単語でも話せるのではないか。
すると目の前にコトッとマグカップが置かれる。
眺めていた筈の爆豪君はいつのまにか目の前に座っていた。
『ミルクティーだ!』
爆「あぁ。」
一口飲むと身体が温もりで満たされる。
『アールグレイのミルクティーが好きなの覚えてくれてたんだね。』
爆「たまたまだ。」
嘘ばっかり。
爆豪君の部屋にアールグレイの茶葉が置いてあるの知ってるもん。
『爆豪君は?何が好きなの?』
爆「あ?辛いモン。」
『じゃあ緑茶かなー。あ、でも炭酸もいいよね。』
爆「どっちもだ。」
『ふふっ、了解。』
早速今日の帰りに買って来よう。
END