第5章 言葉足らず
———————拝啓。
お父様、お母様。お元気ですか?
私は元気です。
寮制になり親元を離れたことはうら寂しいですが雄英高校で実りのある毎日を過ごしています。
そんな私は今、普段の起床時間よりも二時間早起きして寮の掃除をしています。
『よし、こんなところかな。』
爆「あ"ぁ!?何がよし、だ!まだ此処にホコリ残ってんだろーが!」
『知ってるよ。今のは手紙の話。』
爆「は?」
何言ってんだコイツ、みたいな顔をしている彼は私のクラスメイトの爆豪勝己君です。
一言で説明するならば雄英体育祭で一位になりながらもヴィランに向いている男第一位という才能マン。
『こんな感じ?』
爆「おめぇとうとう頭逝ったんか?」
『才能マンから言われると刺さるものがあるね。』
爆「あっ、おい!!まだホコリ残ってるっつってんだろ!!………………チッ。」
掃除は小姑に任せ私は別作業へ。
手を動かしながらふと想起するのは昨日の出来事。
爆豪君と二人揃って遅刻した私達は職員室に居る相澤先生の元へ足を運ぶ。
爆「寝坊した。」
『右に同じく。』
相「お前らは敬語も使えないのか。」
パソコンの画面から目を離すことなく淡々と告げられた罰則は翌日早起きして寮の掃除をすることだった。
『今日の放課後じゃないんですか?』
相「疲れて明日の朝寝坊したらまた罰が増える。こっちの方が合理的だ。」
『なるほど。』
意見が合致した為、否、合致しなくてもやらされた罰が今のこの掃除だ。
もちろんそれとは別にくどくどと怒られたのだが。