第2章 霽れの日は…
当然俺はその後、を娶る心算でいたが
「父が虐げた領民達と共に歩んで詫びていきたい」
そう言っては安土城に上がる事はなかった。
その気になったら何時でも俺の元に来いと告げてみたものの、恐らくこの女は己の考えを覆す事はないだろうと感じていた。
そしてそれから六月を越えた頃………
「信長様っ!
件の領民達が大挙して安土城門に押し寄せておりますっ!」
血相を変えた秀吉が天主に飛び込んで来た。
「……謀反か?」
俺が鋭い眼光で問うても、何故か秀吉はくしゃりと困り顔をするだけで……
「いえ……それがその……」
随分と歯切れが悪い。
「一体何事だと言うのだ!」
焦れて強い口調で問い詰める。
「はっ……あの…
どうしても信長様にお目通り願いたい…と。」
確かに俺があの腐りきった大名から救った領民共だ。
だが、今更何だと言うのだ?
しかし俺に会いたいと押し寄せた我が領民を無下にする訳にもいかぬ。
俺は秀吉と共に城門前まで出向いた。