第2章 霽れの日は…
「貴様達の想いは確と受け取った!
この娘は腹の稚児ごと、この織田信長が引き受ける。
この娘も、生まれて来る子も、俺が生涯愛で続けると約束しよう!
ここから先、我が妻、我が子に会いたくば、
貴様達は何時でも気楽に城門へ参れ!」
響き渡る大きな歓声。
その後は領民共全員が額を地面に擦り付ける程に跪いた。
圧巻の光景を見渡しながら、腕の中に居るへと顔を寄せる。
「ああ……
貴様の意見を聞いておらなんだな。
何か不服はあるか?」
そう問い不敵に口角を上げる俺をきょとんと見つめたは、暫くの間の後
「………ぷっ。」
小さく吹き出し、ころころと実に愉快そうに笑う。
「、何が可笑しい?」
「いえ……いいえ。」
愛らしく笑い続けるの姿に俺も頬を緩めていると、背後から秀吉の大袈裟な溜息が聞こえた。
「何だ……秀吉?
言いたい事があるならば、遠慮せず言え。」
「………いえ。
この先、祝言の手筈など……
己の責務が増えた事を憂いただけでございます。」
態とらしく悲愴な表情を作る秀吉に、俺は更に笑みを深くすると
「末永く宜しくお願い致します。
………信長様。」
も俺の胸に頬を寄せて来る。
そして俺はこの場に居る全ての人間の顔を見渡してから、一際大きな声で告げるのだ。
「皆の者!
その心意気や、良し!」
了