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【DNH企画】豪雨の先に…【イケメン戦国】R18

第1章 豪雨の中で…


轟く雷鳴。


まだ申三つ頃だというのに、垂れ込めた暗雲の所為で夕刻の様に薄暗い。

直に豪雨になるだろう。


仁王立ちする俺の前には、情けなく打ち拉がれた初老の男が跪いている。

その背後では燃え盛る大名屋敷。

この男を主として、穢い手段で増幅してきた伏魔殿だ。

今は俺とその男を焦々と燻すその炎も、豪雨になれば勝手に鎮火するであろう。


「頼む……
 命だけは……」

「ほう…。
 己は手前勝手に領民を虐げ、
 直接的にも間接的にも数えきれぬ命を奪っておいて
 自分の命は惜しいのか?」

俺の冷ややかな言葉に男はぎりぎりと唇を噛むも、その目には明白に薄汚い媚びた色を浮かべている。

「金も……米も……全てあんたに渡す。
 二度と織田に逆らう事はしないと誓う。
 だからっ……」

「貴様が領民から搾り取った血税など要らぬわ。
 当然それらは元在った所へ返す。」

一瞬男の顔には絶望の色が過ぎったが、何か己を助くる策を思い付いたのか突然意気揚々と語り出した。


「では娘を……
 俺の娘をあんたにやろう!」

「………娘?」

「ああ。
 今年十八になる器量良しだ。
 俺の手管に使えるよう囲い育てた未通女だぞ。
 それをあんたの好きにすればいい。
 どうだ?」

己の娘すらも命乞いの道具とするのか。

その悍ましい程の賤しさを平気で晒す様に吐き気を催す。

無表情で何も言わない俺に対して交渉成立だとでも思ったのか、男の顔が安堵に緩んだ。

その卑しい表情を見届けてからすらりと抜刀した俺は、一太刀で男の首を落とす。


そしてそれが合図であったかの様に………

豪雨が全ての穢れを洗い流し始めたのだ。
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