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エルヴィン裏作品集

第8章 痴漢、ダメ、絶対。



【1日目】



激流のような人の往来。箱詰めの電車内。駆け込まないで!のアナウンスに、はみ出た人を押し込む駅員。寒い季節の電車の窓は温度差で結露している。

ユリアは今まさに駅員の背中に押し込まれて漸く電車に乗れた1人。学校に行く為に乗り込む電車はいつもこんなに満員で嫌になる。

ユリアはふと気が付いた、スカートをドアに挟まれてる。

学校のある駅までは10分。その間はこの状態。ユリアは動き出した電車に揺られ始めた。

真後ろにいる人、男性でかなり体格がいいのか自分の斜め上に腕があり、後頭部にぶつかるのは胸板らしく、背も高いようだ。入ってきた時には駅員に押されて乗車するのに必死で気が付かなかったが……。

ユリアは男性の体に押されながらも少しだけドキドキする。

腕だけだが、逞しく、手も大きい。

……この人の手がもし……自分の身体に触れたら……

ふと過った邪な考え。ユリアは振り払うようにもうすぐあるテストのことを考え出すが、全くダメだ。集中出来ない。

するとユリアはある事に気が付いた。

電車の揺れとは関係の無い動きをする手が、ユリアの尻に当たっている。尻の丸みに沿って指が這わされ、谷間で止まり、ゆっくり上下に動かされた。

「ふ……、??」

手の甲と指の背がすりすりと行き来する。

じんわりと股に気持ちの良い痺れが走る。コレは濡れてしまうやつだ、とユリアは確信した。

こんな時は嫌がるのが当たり前、だがユリアは少し身体が喜んでいることに頭がついて行かず大人しく触られていた。

次第に駅に近づくと手の感触はどこかへ消え、電車は駅で止まり、ドアが開くと雪崩るようにユリアは駅のホームへ降り立ち、通学路に着いた。

あの手……なんだか……嫌いじゃないかもしれない。
そう思考を巡らせながら、火照った身体を冷ますように寒空の下を歩いた。



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