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エルヴィン裏作品集

第6章 歪んだ二人の向かう先



じめじめと汚らしい地下牢。エルヴィンは尋問を受けるために椅子に座らせられていた。ピチャン、ピチャンと水滴が落ちる音が響く。

その静かな空間に靴音を鳴らし、切り裂くような金属音を立てながら戸を開けて中に入ってきた人物は二人。

初めに入ってきた男は勿論だが、その後ろを続いてやってきた彼女をよく知っている。人体に対する拷問専門の兵士、ユリア・カルデリア。

「待たせたな、エルヴィン。早速だが尋問を始めさせてもらう」

憲兵団幹部の男に言われて、ユリアがエルヴィンの前に膝まづいた。

幹部の男は「殺さなければ好きにしていい」とだけユリアに言って、牢屋を後にする。


正直、エルヴィンはいつか彼女の“世話”になるだろうとは想定していたが、遂に本当にこの日が来てしまった訳で。

「エルヴィン団長。幻滅しましたよ」

ユリアは普段の兵服のまま、手には黒いレザーのロング手袋を装着している。

「あなたが人を殺すなんて、何故そんなことを?」

ユリアの言葉に返答はない。

「……まあ、そんなことは今はいい。建前の話はやめて、本題に移ります。ハンジ・ゾエとリヴァイの居場所は?」

「さあ、知らない」


エルヴィンの答えにユリアはため息をついてゆっくり立ち上がり、突然エルヴィンの左側顔面を踵で勢いよく蹴り、壁に押し付けた。

不安定になった椅子は倒れ、エルヴィンも床に転がった。

「ごめんなさい、ついうっかり足が出ちゃいました。嘘吐きの目が気持ち悪くて」



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