第5章 ごめんなさい。
12月。
挙式を終えて、彼、つまり今の夫と同棲していたアパートを引っ越す日。
仕事人間な夫は引越し当日も日程を空けられず、今日はユリアが一人で引越しを仕切ることになった。
「あーー、やっと終わった……」
部屋に埋め尽くされたダンボール。その中心で寝転がり、天井を見つめてぼーっとしていると、ここで聞く最後のチャイムが鳴った。
「きた!時間通り!」
ユリアはストッキングで床に足を取られながら玄関へ向かい、ドアを開けた。
「どうも、お世話になりまーす」
ユリアが言うと、チャイムを鳴らした当人である、引越し業者の男が立っていた。
「おはようございます、本日お引越しのお手伝いをさせて頂きます。エルヴィン・スミスとミケ・ザカリアスです。よろしくお願いします」
「(外国の人だ)はい、よろしくお願いします!」
ハキハキと挨拶するエルヴィンというスタッフと、その横で、「よろしくお願いします」と小さく言ったのがミケというスタッフなんだろう。
背が高い二人は頭を下げながら部屋に入ってきた。
なかなかカッコイイ。何歳くらいだろうか。20代?いや、30代か?自分よりは年上っぽいが。
ユリアはイケメン過ぎる引越し業者スタッフの二人に胸を踊らせながら、二人に今日の手順を伝えた。