第15章 消失
「こんばんは」
「あら、ザカリアスさん。お勤めご苦労様」
ご近所付き合いは大切だ。変な噂を流されるかもしれないからな。
例えば、ザカリアスさんちは最近、躾のなっていない犬を飼い始めた、とか。
自宅のドアを開けると、リヴァイが居た。
「ミケ。ユリアとエルヴィンは」
……ああ、そうだ、エルヴィン。
ひとつ伝え忘れたことがある。
「リヴァイ。お前一人で帰ったのか」
「迎えがねえから先生が。お前にも連絡してたぞ」
「すまん……」
「チッ、すまんじゃねえ。誤魔化すの大変だったんだからな」
ユリアは妊娠してる。
身体は冷やすなよ。絶対にだ。
「で、ユリアとエルヴィンは」
「……すぐに帰って来る。絶対に」
-END-