第14章 【合同夢】宅飲み
毎週土曜日の夜はエルヴィンとお酒を楽しむ時間だ。いつもデートの帰りに何処か手頃なお店で呑むことが多かったけど、たまにはゆっくり過ごしたいねと意見が一致して今週は宅飲みをすることになった。
ポンッ!と軽快な音で瓶からコルクが抜かれ、弾ける泡と一緒にグラスに注がれる。
シュワシュワと小さな気泡がグラスの底から浮かび上がり、表面から逃げていった。
「ありがとうエルヴィン」
「どういたしまして」
私が宅飲みの時に好んで飲んでいるこのスパークリングワインは、コルクが硬いからいつも開けるのはエルヴィンの役目だった。いとも容易く開けてしまうエルヴィンに、男の人だからと言えばそれまでだけどやっぱりいつもキュンとしてしまう。
「エルヴィンのは私が注ぐね」
「ああ、頼む」
私が担当するエルヴィン用のお酒はウイスキーで、先端を時計回りと逆に捻ればペットボトルの要領でパキパキと栓が開くタイプのものでとても簡単だ。いつもの様に開けてグラスに注ぐ。中に入っている氷がカランと音を立てた。
「ありがとう」
「どういたしまして!それじゃあ、」
「「乾杯!」」
お互いの好きなお酒を注いだグラスを軽くぶつけて宅飲み開始。
私もエルヴィンもお酒は好きだけど特にこだわりがある訳では無い。使っているグラスも専用のものじゃなくて雑貨屋で買ったペアグラスだし、おつまみだってコンビニで買えるミックスナッツとチョコレートをそのままテーブルに広げてるし、肝心のお酒だってその辺のスーパーでいつも買っているもの。
いつも外で呑むようなお店と違ってお洒落とは程遠いけど、宅飲みは一番リラックスした状態で呑むことができるからいいのだ。