第11章 契約者
「……教えてくれ、俺に。魔力の与え方を」
「ふ、物は言い様ね」
そう言ってユリアはエルヴィンの下顎を親指で下げ、開口させる。
「舌を出しなさい」
エルヴィンはおずおずと舌を出すと、ユリアはそれを食んで軽く吸った。
「は……っ」
「よく覚えて、感じている暇はないわ」
「ん……は、っ」
ユリアは舌同士をぬろぬろと絡め合いながら、エルヴィンのパジャマを脱がす。
「っま、待っ……」
「何」
「本当にするのか!?キスだけじゃ……」
「私がキスだけで満足出来ると思ってるの?」
それとも、やっぱりお子様にはまだ早かったかしら。と囁けば、エルヴィンは一度身体を強ばらせ、自分からユリアにキスをした。先程ユリアがしたような、深いキス。
「……どうだ」
「初めてにしてはまあまあね」
ユリアは息が既に上がっているエルヴィンの胸元に手を這わせた。若々しい素肌はさらさらとしていて、なのにもちっと吸い付くようだ。
「この身体、もう少し鍛えないとね」
「何故?」
「あなた、兵士になりなさい」
「……何故」
「あなたの夢の為よ。それを叶える為には犠牲を必要とする。第一に自己犠牲、それは自身の時間だったり、労力、身体……そして命を費やすこと。そうしなければ夢は叶わない」
ユリアはエルヴィンのパジャマを脱がし、その左胸に手を置いた。
「そして時に、他者を犠牲にしなければならない。そうなっても悔やんではならないのよ。これらは夢を叶えるということの対価の内だから」
まだ迷いのあるエルヴィンをベッドに寝かせ、首筋にキスをする。
「……今から教える事は、兵士になってから必要になるわ」
ユリアはエルヴィンにまたキスを落とした。