第10章 性的趣向 ②
エルヴィンとユリアが交際開始から迎える何度目かのクリスマス。
ユリアは大学を出て就職し、その仕事帰りにケーキと、エルヴィンに振る舞う為の料理の材料をスマートフォンで調べながら買い物をし、エルヴィン宅へ向かっていた。
クリスマスといえば。
家族と幸せな食卓を囲んで、子供たちは25日の朝、目覚めると枕元にプレゼント……それがユリアの家でも毎年恒例だった。
でも今年は。
親元を離れ、就職してからは初めて迎えるクリスマス。
かなり浮かれていた。
そうだ、ここで彼氏であるエルヴィンについて少しだけ。
彼は所謂、“ちょっと変わった年上の彼氏”である。
目の保養にと向かったある高校の夏のプール横の道から、プールサイドにいるユリアを見掛け、一目惚れ。彼はスク水に性的興奮を感じ、彼女になる前の当時現役高校生だったユリアに水着を着用させて行為に及び、更にその行為をカメラに収めて楽しんでいた(ちなみに現在進行形)……ちょっと変わった“性癖を持つ”年上の彼氏である。
そんな彼氏の家に足取り軽い中到着した。
合鍵を使って中に入ると、いきなり目の前にエルヴィンが立っていた。
「わっ……エルヴィン……何……」
ユリアはすぐ様察した。この顔、何かある。
「おかえり、今日仕事はどうだった」
「ん……普通だよ」
「ところで、プレゼントなんだが、用意していない」
「ん……そ、うなんだ……で?」
「お詫びにコレを……」
ユリアの何となく察していた“何か”、それをエルヴィンが渡してきた。
「君に着て欲しい」
手渡されたのは真っ赤な紐、レース、リボン、ファーで出来た頼りない物体達だった。