第8章 痴漢、ダメ、絶対。
【5日目】
「やばい、やばいやばいやばい!」
ユリアは走って駅のホームへ。電車が出発するギリギリに乗り込む。
「あぶね……」
つい小さく呟き、息を整える。
ドアが閉まり電車が動いた直後。すぐに身体が人で押し潰される。
「ぁ……」
グッと、胸が掴まれる。あまり自信のないサイズの胸。それがコートの上から揉まれる。しかしそれでは足りなかったのか、コートの下から手が侵入し、更に揉みしだかれる。
「や、やめ……」
少し大胆すぎやしないか?そもそも……この痴漢、もしかしたら同一人物かもしれない。
手の動き、大きさ。
匂いを嗅がれる音が聞こえる。
ピクリと身体が反応してしまう。下唇を噛み、マフラーに口元を埋めた。
また、股が押し付けられて尻あたりに擦られる。
「んっ、ふ……う……」
痴漢の手が太ももを撫で上げながら、スカートの前側を捲る。
息が荒い。ユリアの股に指が当たる。
「んっ!」
太い指がクリトリスに触れた。
今抱き締めながら股を弄られる形になっている。大丈夫なのか?こんなに大胆に……でも体型もしっかりしているらしい痴漢の男。周りから見えない……かもしれない。
痴漢の動きで快感が昂り始める頃、ユリアは下車する駅に到着し、走って駅から飛び出した。
身体が熱い。触れられていた場所がジンジンとして焦れて苦しい。
ユリアはぶつけ先のない欲情をそのままに息が苦しくなって歩き出した。
「はぁっ……はっ……ん……」
唾を飲み込み、また息をする。
胸の奥がモヤモヤ、ジンジンするような気持ちで溢れた。
痴漢の、あの大きいモノが挿入されたら……。
ユリアはゾクリとして、マフラーで口元を隠した。