第7章 思い出の中の彼
そういう静司に安心しながらも照れ隠しをしながら再び委ねる身
自然と瞼が降りてきて眠りに落ちる私のおでこに何かが触れながらもそっと抱きしめる温もりを感じた。
その日の夜ふと夢を見る
「君何してるの?」
「外の世界を見てるの」
塀越しに見つめ合う小さな私と少し大きな男の子
「外の世界?」
「外に出たことがないから」
そういう私にフッと塀の上まで上がってくるその子は手を差し出してくる
「見てるだけじゃつまらないでしょ?」
「でも... それに、あなたも見えるの?」
差し出された手に躊躇いを示しながら塀の上に上げてくれた式神を指さす私に
「えぇ でも外はもっと広い ここに居るだけでは君のしていることは無駄になるでしょうね」
そういい私の体にある仕置きで残った傷のあたりを男の子は自身の体でトントンと示しながらどうするとでも言いたげな顔をする
「無駄になるの...?」
すべてが無に帰すことに悲しみと怒りを覚える
ずっと一人で生きてきたこの狭い屋敷
親は見向きもせずただ力の為だけに生かされてきた私にとっては耐え難い言葉だった