第1章 逃走
今まで何度か躾という名目で蔵に閉じ込められた。
自分より強い力を持つものに死なない程度にいたぶられ続けた事もあれば霊力を高めるという名目で持久戦を目的とした式をひっきりなしに当てられることもあり半分トラウマ化している蔵に1週間入れられることになった私だが今回はただ閉じ込められただけらしく多少は安心した
だが自分と同じと思っていた彼を異形扱いされショックを受けると同時に自分が結局1人なのを再認識させられ自分の殻に再びとじこもることにした。
結局彼も人間じゃなかった。
ここが私の生家ではなく分家ということも知っていた。
自分にそっくりな人間がいる事も双子は不吉との事で養女に出されたことも使用人たちの噂で知っている。
口が軽い使用人たちの中でも気まぐれなのか命令なのか私に良くしてくれる人間はいた。
けど、大体が時間が経つと居なくなったりして一人ぼっちを体感する。
「ばあやとお呼びください。」
そういった彼女だけが私に一番濃く関わりここに来てからずっと面倒を見てくれていた。
そんな彼女はオールマイティーな家政婦のようで行儀作法や勉強も教えてくれた。
ただ唯一を覗いては。
妖怪というものが見える私はそれから身を守る術をおそらく目下のものに教わった