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ヒプマイに溺れる【短編集】

第12章 年下彼氏の憂鬱【山田三郎】


僕が付き合ってる女性は先月高校を卒業してこの4月から大学生になった。
同じ学校にいるということはとても幸せな事だったんだなと改めて思う。
変な男がいればすぐ牽制できたし、喧嘩したってすぐ仲直りできるし、何より彼女と確実会える

(早く終わらないかな)

大学生はやはり忙しく会える時間が減った。負担になりたくないから電話もなるべくしないし、我儘なんて以ての外だ

「三郎!どーしたんだよ、外ばっか見てよ授業終わったぞ」

「あぁ」

「つーかカラオケ行くんだけどたまにはお前も来いよ」

「僕はいい」

クラスメイトと別れいち兄に頼まれた買い物のためスーパーに寄る

(豚肉と玉ねぎ、モヤシ、二郎のコーラ、あとは...)

買い忘れがないか確認するためにスマホの画面を開くとLINEの通知が目に入る

“明日バイトないんだけど都合よかったら家に来ない?”

(急いで家に帰っていち兄に予定を聞かなきゃ)

僕の気分は一気に晴れて会計を済ませてスーパーを出る


「あははは」

彼女と良く似た笑い声、反射的に声の方を見ると小柄で細身の女性と隣に並んで歩く男の姿。


間違いなく僕の彼女だった


(隣の男は誰...)


さっきまで晴れていた俺の心はどす黒く沈んだ














“明日、予定ないから会えるよ。何時に行けばいい”

“やった!何時でも大丈夫だよ!”

“じゃあ早く行ってもいい?”

“うん!”

“9時前後には行く”

“わかった!楽しみにしてる!!”

いち兄は僕達の関係を応援してくれていてよっぽどのことがない限り彼女との時間を大事にさせてくれる

僕は明日に備えてスマホを充電器にさして電気を消した

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