第3章 2
次の日署に行くと
Seedの噂はすでに広まっていた。
あたしが来るなりこっちをちらちら見ながら陰口
「あれが一年前友達を射殺したっていうSeedのリーダー?」
「ほんと冷酷だよな。友達を撃つなんて」
ふいに聞こえた会話
胸に突き刺さる
逃げ出したくなる
誰か助けて
バンッ
「お前らあの事件のことなんも知らねーくせにごだごだ言ってんじゃねーよ。」
机を叩いて立ち上がった風磨が今までにないくらい低い声で言う。
「すいません菊池巡査」
「今度そんなこと言ってみろ。ぶっ殺すかんな」
と言い、あたしの向かい側の席に座り直す風磨
あたしの方をじーっと見てくる
「なによ」
冷たく言い放つと
「大丈夫かよ。お前」
と言って書類に視線を戻す風磨
「あんなの平気。」
そんなの嘘
ほんとは平気じゃなかった
「嘘つくなよ。俺の前では無理すんなよ」
風磨は強くなったね
昔から。
一緒に成長してきたつもりなのにあたしは昔のままだ。
いつかは置いていかれるのかな?