第2章 1
報告書が書き終わり時計をみれば
21:00を回っていた
もうこんな時間か
「帰ろう」
荷物をまとめて上着を着て
玄関へ続く廊下を歩いていると
「よっ」
風磨がいた
「帰ったんじゃなかったの?」
と言うと
「お前のこと待ってたんだ」
なんて帰ってきた
今でもドキッとするあなたの声
「時間ある?」
「ないって言っても着いてくるんでしょ?」
あなたの考えてることはわかってしまう。
「わかってんじゃん」
長年連れ添ってきた仲だから
ふたりで歩く道のり
沈黙が続く。
「お前さ、まだ引きずってるの?あのこと」
沈黙を破ったのは風磨
「忘れられるわけないじゃん」
あのこと
あたしが親友を拳銃で撃ってしまったこと。
忘れられない
忘れちゃいけない
あたしはあたしの罪を忘れちゃいけないんだ
「あんま背負い込むなよ」
とあたしの頭をポンポン撫でる仕草は今でも変わらない。
「あたし以外に誰が背負うのよ。あたしの罪は自分が背負うしかないの」
呟くと
「お前だけの罪じゃねーよ。俺らSeedの罪だ」
「撃ったのはあたしだもの」
「ッ‥‥‥‥ごめ、」
風磨は苦しそうな顔をする
そんな顔しないで
「風磨のせいじゃないよ」
そう誰のせいでもない
あのとき射撃の選択をしたのがあたしじゃなくても
撃ったのはあたしだから。
「聖奈、守るよ。これ以上お前1人に背負わせないように」