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小鹿の隠れ家

第1章 恋愛に至る道(出会いから恋に辿り着くまで)


不安そうに名前を呼ばれてほっこりと笑ったこんのすけは一応お願いをしてから近づくと、しゅんと頭も肩も下がった状態の佳乃子から謝罪の言葉が落ちてくる。
こんのすけは素直なその反応に大丈夫です、と答えて正面に座ると佳乃子を見上げる。
佳乃子の方も先ほどのようなことにはならず落ち着いた調子でこんのすけを見つめ返すと首を傾げる。
バロンはしっかりと佳乃子の腕の中だ。

「本日は様子を窺いに参りましたが、刀剣男子の方々の中でとある疑惑が上がっているそうです」
「疑惑、ですか?」
「ええ、この本丸には座敷童が住んでいるそうです」
「……えっ?! ほ、本当ですか?! なら、甘いお菓子と、座敷童様用の食器類と、お部屋とお人形と……!」
「……自覚、ないんですね」

座敷童が居る、という言葉に目と表情を輝かせて準備しないと! と張り切る佳乃子に若干引き攣った表情のこんのすけは小さく息を吐きながら項垂れる。
これは本当にきちんと自覚を持って貰って刀剣男子たちの前に出て貰わなければ、と少し前の光忠と全く同じことを思いその先も想像して遠い目になる。
確実に逃げ惑うに違いない佳乃子をどうやって全員の前に連れ出せば良いのか、と。気配に敏く、かなりの察知能力を所持しているに違いない佳乃子に不意打ちでも難しすぎる。
頭を抱えたくなる状況にがっくりとうなだれたこんのすけの頭を小さな手が撫でていく。

「大丈夫ですか?」
「は? ああ、ええ、大丈夫です。佳乃子様、刀剣男子の方々が疑っている座敷童は貴女のことですよ」
「ふぇ?」

労う様な手の動きと心配そうな表情で問いかけてくる佳乃子に気を取り直したこんのすけは、一つ咳払いをすると改めて諭すために言葉にする。
現状を知らせて、なんとしてでも刀剣男子たちの前に佳乃子を立たせなければ! との使命感に燃えたこんのすけ。
さあ、いざ! という所で話の腰を折ったのは相談を持ちかけてきた光忠だった。昼餉の準備を終え、刀剣男子たちに配り終えた光忠は膳を手に佳乃子の部屋にやってきたのだ。
そうして二人と一匹、改めて膳を囲みながら今後の話をすることになったのだが、果たして苦戦したのはやはりというか光忠とこんのすけであったのは言うまでもない。
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