第1章 恋愛に至る道(出会いから恋に辿り着くまで)
光忠はそんな様子にさすがに申し訳なくなってそっと背や髪を撫でるとそれ以上は出来るだけ怯えさせない様にゆっくりとした動作で抱き上げて近くにある座布団の上に座らせる。
俯いたままの顔を下から覗き込むようにすれば、気配で解るのかビクリと揺れてぎゅぅっと硬く閉じられる目からまた一粒、一粒と涙がこぼれ始めて慌てて手を伸ばす。
頬に触れたらまた暴れ出すかと思った光忠だが、身体を固くするだけで逃げる気配もないことに少しだけホッとしながら涙を拭うとまた髪を撫でた。
ふわふわとした柔らかい髪は光忠が撫でると想像に違わない手触りで指の間を通り抜けていく。
「ごめんね、怖がらせて。仕事量が半端ないから、心配だっただけなんだよ」
「……」
「一人でやるって言わないで、せめて僕にも手伝えって言ってほしかったんだ」
「っ……み、つただ、さま、おつかれ、なのにっ」
「大丈夫だよ」
「だっ、じょぶじゃ、ないですっ! も、にた、まっかっ!」
佳乃子は手伝いたかったと伝えた光忠に弾かれたように顔を上げ、心配そうな表情で見下ろすその顔を始めてバロン越しではなく自分から見上げた。
自分を心配する光忠の顔色も、昨日一日影から見て回った刀剣男子たち同様に疲労の色が濃い。それなのに、昨日は一日佳乃子の調査に案内がてらついて回っていたのだ。
他人も、男性も、怖い。むしろ、母親とバロン以外は動物くらいしか怖くないモノがない。けれど、だからといって怖いモノをどうでも良いと思ったこともなければ、大事にしないわけでもない。
審神者となったのなら、刀剣男子たちを大切に守るのも役目であるとあまりにもビクつく佳乃子に去り際のこんのすけがこっそりと告げたのだ。