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小鹿の隠れ家

第1章 恋愛に至る道(出会いから恋に辿り着くまで)


なるのです、と小さなささやき声がしんと静まった部屋に落ちた瞬間の光忠の驚愕の表情は、横に居たこんのすけのみが見ることが出来たがなかなかに見物であったと後に語られるほどの表情だったらしい。
幸いにも言い切る頃にはバロンの首に顔を埋めて隠してしまった佳乃子にはその表情は見られることはなかったのだが。
とりあえず、その場は声も出ない程の衝動に固まった光忠を置いてこんのすけが話を元に戻したことでつつがなく流れていく。

「それでですね、こちらの本丸は本来別の方が受け持っていたのですがいつの頃からか刀剣たちを休ませることなく働かせるようになってしまったようで……。発覚したのはひと月ほど前に、演習で怪我もない刀剣が倒れたのがきっかけなのですが、いわゆるブラック企業ならぬブラック本丸だとその時の対戦相手から秘密裏に連絡が入った次第で」
「……そ、れでは、当面はこちらの刀剣男子? 様方に休養を取って頂くことが重要なのですね」
「はい! 佳乃子様はお父様が仰っておりましたが、なかなかに飲みこみの早い方のようで私も助かります」
「お、お父様がそんなことを……」

こんのすけの説明の中から、当面やるべきことを確認した佳乃子は目を細めて髭を揺らしふっくらと頬を膨らませた笑みを見せられ褒められて頬を赤らめる。
あまつさえ、自分にとっては若干畏怖するほどの父に褒められているに近いことを言われているようだと知れて喜びが心を占めて佳乃子はぎゅぅぎゅぅとバロンを抱きしめる。
それから、では設備の説明をとこんのすけが移動を促したところで漸く我に返った光忠が待ったを掛けた。

「ちょ、ちょっと待って! 今執務室に行ったら、多分長谷部君とか何人か詰めてるはずなんだけど……」
「あ……そうでしたね。佳乃子様に一気に皆様を紹介するのは……」
「っ!?」
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