第1章 日常1~烏野~
居酒屋烏野
この駅チカの居酒屋激戦区で最近知名度を増してきた居酒屋。
バイト募集の紙が見えたため、なんとなく応募したら受かってしまった。
ここのメンバーはほぼ180cm以上の男性のみ。
別にその条件で集めていたわけではないのだが、そうなってしまったみたいだ。
女性層に圧倒的に人気であり、バイトに来るかと思ったが、居酒屋は忙しいイメージがあり、お酒を呑みながらゆったりイケメンたちを見るのがいいのだと。
私にはいまいちわからないのだが。
更衣室は一つしかないから、みんなの迷惑にならないように早めに来て着替える。
あいにく鍵もない。
まぁ、Tシャツに着替えるだけなんだけどね。
ぱっとやればいいか。
服を脱いだ瞬間だった。
ーーーバンッ
「おっしゃー!俺が一番乗り〜!!!」
「おい、田中今は!!!」
「………。」
「あ…。」
あのバカ。澤村さんが止めたのに。
ノックもしないで開けやがって。
まだ今日はタンクトップ着てたからほぼセーフだったけど。
「田中……」
「はぃい!?」
「○ね」
1番ドスのきいた声で一言。
田中は血相をかえてドアを閉めた。
その後田中は澤村さんにこっぴどく叱られ、私は田中と数時間口をきかなかった。