第4章 合宿①
「あの…ここに居られると、練習の迷惑になるから」
「はぁ?別に何にもしてないじゃん」
「何がいけないわけ?」
「あと、私らはここの部長に用があるんだよねー」
「「ねー」」
「え、澤村先輩に…?」
別に知り合いでもなんでもない、この人たちは、澤村先輩に用事…なんで。
「俺に何か用事なのか?」
聞こえていたのか、澤村先輩が声をかけてくれた。
「あー、この子の先輩で部長ですかぁー?」
「うん、そうだけど、何かな?」
「この子のことなんですけどぉー」
「え」
急にガッと肩を組まれた。
仲良くもないのに、どうして…。
怖くなってまた血が引いていく。
「私たち前の学校の一緒の部活の者なんですけどぉ」
「この子、早く辞めさせた方がいいですよぉ」
「この子、前の部活でうちら部員をさんざんディスってけなして、挙句の果てには逃げたんですよねぇ」
「だから、この部の皆さんが被害が来る前に辞めさせた方がいいですよぉ」
――――ドクン…ドクン
また鈍く心臓が波打つ。
ずるりと過去に引き戻される。
『全然合っていないじゃないの!!音程もリズムもバラバラ』
『やる気あるの!?』
『こんなの銅賞レベルよ!!』
いやだ…いやだ…いやだいやだいやだ…
私はもうあの時の私じゃない。
そう思っていたのに。あの過去が私を引きずり戻す。
まるであの時のままだといわれているかのように。