第43章 煙 くゆりて 人 攫う
「一向宗と船商人が手を組み、私利私欲を肥やしているところへ、瑠璃を連れ去った大名か武家が一枚噛んだ、噛もうとしている、その線が強いか…」
秀吉が要点をまとめる。
「それとも別々に私利私欲を貪っていたところ、
偶然にも利害が一致し、手を組み、
お互い利用し合っているか…ですね」
三成が付け加える。
「誰が瑠璃を連れ去った真犯人かは、
暴いてみれば分かる事だ。
目星がつき次第出発するぞ」
信長が決定を下す。
「…にしても……
姿を失くした状態で船に乗せられる…って、
なんか嫌な予感がしますよ、俺」
家康が厳しくも嫌そうな顔をした。