第43章 煙 くゆりて 人 攫う
その命令し慣れた様子が、宛かも瑠璃が本物の姫であるかのように、男達に見せていた。
「でも…瑠璃ー…「美弥、黙りなさい」」
美弥には何も言わせないよう、
被せて、瑠璃は冷たく言い放つ。
「そうか。お前が信長の女だな。
鼻っ柱の強そうな女だ。我々と共に来てもらう」
「はい、と言う馬鹿が何処にいて?
嫌に決まっているでしょう」
ツンっと澄まして、顔を背ける。
「肝が座ってんな。さすが、信長の女だけある」
雄剛に笑われる。
「侍女を離しなさい。
もし、口封じに殺すと言うなら、
ワタクシも此処で自害します」
瑠璃は懐から守り刀を取り出し、
喉元に構え挑む。
「おーーっと待て。殺しやしねぇ。
姫さんが拉致されたこと帰って伝えてもらわねぇとなんねぇからな」
愉快そうに笑う。