第39章 安土凱旋帰還と平穏の日
「何で、何が困る?」
「えっと…今…私の時代に戻ってしまったら、
怒られちゃうな…と思って。
こんなに短くしたら、多分ーー…」
(叩かれる)
母の甲高くて重い声が頭に蘇る。
何回、何十回、数百回 聞いただろう、
叱責の声と表情に身が竦む。
ギュッッ
縮こまった瑠璃の身体を抱きしめて、
政宗が優しく声をかける。
「母上は居ない。お前は好きにして良い。
誰も怒らない。大丈夫だ」
短くなった髪を梳きながら頭を撫でる。
「ありがとうございます、政宗」
(力が抜ける…)
瑠璃が目を閉じて、
猫のように気持ちよさげに撫でられる。