第38章 戦勝し戴天に近づく
「……どうせ死ぬのに、どうでもよいことであろう…が、知りたければ教えてやる」
凌刻※と目を細め見る信長に、そこにいる皆、怯え動けなくなる。
「貴様らをこの抜道へ案内したのは、俺の参謀と小姓だからだ。
貴様らはまんまと騙され、策(罠)に嵌ったわけだ」
「…いー…いやぁぁぁーーっ‼︎」
信長の説明に、死を悟っただろう女は、
一気に半狂乱になり、失意の叫び声を上げ、
膝をついて泣き崩れた。
捕繋※(ほけい)された者は順次 処刑された。
嫡男嫡子は磔(はりつけ)にされ、親族家臣は
斬首獄門の刑に処せられ、見せしめに外に晒された。
寝返って浅井氏に加担した将も斬首刑にされ捨てられた。
(我に逆らえばどうなるか、知るが良い)
極悪非道、冷酷無慈悲と汚名をつけられても、
それさえも強さに変えて。
(此れが 俺のやり方だ)
従う者だけを従えて天下統一を目指す。
信長の志。
後日から、浅井氏に関係した者は 信長によって
徹底的に弾圧された。
※凌刻…ゾッとするほど不人情で厳しい。
※捕繋…捕まえて牢獄に繋ぐ。