第38章 戦勝し戴天に近づく
「緊張は解けたみたいだな」
「光秀様のイケズ!ちゃんと守って下さいよ!」
揶揄ってないのに、揶揄っているように誤魔化して来る光秀が、憎らしくて、怒ってみせる瑠璃だったが、
「でも…死んじゃ、ダメ…怪我しても、ダメ…」
ギュッと光秀の腰に腕を回し抱きついて、
願うように言う。
「フッッ……可愛いお願いだ。叶えてやるとしよう」
兄が妹を可愛がるように頭を撫で、
優しく笑って光秀は答えた。
「本当にそろそろ行くか」
「ええ、そうですね」
いつもの冷静さを取り戻した瑠璃が、
しっかりと返事をして、2人歩き出す。
嵐の中心へと……。