第38章 戦勝し戴天に近づく
広間には光秀以外の武将が皆 顏を揃えていた。
上座の信長の横に今日は美弥はいない。
怪我人を診るとかで忙しくしているらしい。
代わりといってはなんだが、広間の後ろの隅っこの方に、人形みたいに瑠璃が静かに座っている。
「光秀は帰ってないんですか」
秀吉が渋い顏で溜め息を吐く。
「光秀の事は気にするでない。アイツは坂本にいる方が後々都合が良くなる。
足利が再挙兵の動きを見せている。よって、
将軍及び、それに加担している朝倉 浅井を攻める」
信長の言葉に、一同 表情を引き締め、厳しい顏をする。
が、政宗だけは、爛々と瞳を輝かせ、楽しげに笑っている。
「攻め落としていいんですね?暴れさせてもらうぜ」
先の出陣では物足りなかった政宗は嬉々として発言する。
「存分に楽しむが良い」
そんな政宗に、信長も笑うだけ。