第35章 休息労癒(R18)
「……止めておけ、心が痛むだけだ…。
自分で自分の価値を決めても、良いことは何もない。
それに、鈍い方が生きやすい。
貴様は、呑気に笑っているのが一番だ」
悠然と笑いかけると、美弥の、
不安と焦燥感という悩みを拭うように口付ける。
(単純な方が良い)
「あの女に憧れるのは 無い物ねだりなだけだ。
貴様には貴様の良い所がある。
だから、そのままで良いのだ」
(表面しか見ないから、瑠璃に憧れるのだ。
もっと、奥を見ろ)
和美に隠された黒い部分に気付けば、
瑠璃のようになりたいなど思わないだろう。
(自分を偽って、作って生きるのは楽ではない)
瑠璃の冷たく美しく作られた笑みを思い出す。
(笑えるなら、笑え。それだけで存在意義がある)
美弥のいつでも眩しいくらい真っ直ぐな
笑顔を想って、側の美弥に手を伸ばした。
「信長様…ん…」
髪を撫でながら口付ける。
始まった口付けは、啄むように、何度も重ねられ、
「お前との問答は、戦が終わったら幾らでもしてやる。
今はもう黙って、お前を堪能させろ」
深くなる。
「はい…」
信長、ひと時の休息ーー。