第33章 春花酒宴
「アレが瑠璃の本性だとしたら、
何でもない、ただの童子だな」
政宗の腕の中で寝ている瑠璃を見ながら、信長が優しく笑う。
「どうして、ひたすら隠しているのか不思議なもんだ」
心の奥を覗き見るかのように、目を細める。
「時代は違えど家は名家、厳しい家で、
弱さは必要ない と育てられたようです」
政宗が端的に答える。
「自由になる時間も 心も無い と詠っていたくらいだからな」
光秀も心なしか、哀れみの声音。
「弱さは必要ない…か。
人の心を読み、自分の心を偽ってでも、
強くいなければならなかったのか…
女のクセに、賢く成らざる得なかった、
哀れだな…」
信長の言葉に、政宗の腕の中で、美しくも
幼げに眠る瑠璃を皆が見た。