第31章 深想伝心 花香酔心(R18)
だから、全てで表し、伝えようとするのだ。
抱き合い、絡まり、ひとつに繋がる。
それは、言葉では表しきれない気持ちを、
補い伝える手段だ。
空気が揺れるたび、匂い立つ甘い香りは、
瑠璃が放つのか、折り持ち帰った沈丁花か。
咲き乱れる花のように、口付けと吐息の花が咲く。
甘い香りを部屋中に充満させるのは、お前だ。
「瑠璃…いい匂いだ…」
その香りに惑わされ、酔うように、
本能のまま抱き締める。
『漂うは 愛しき人の 甘い香
泣いて乱れる 春 沈丁花』政宗
お前をこんなにも愛して、欲していると伝われば良い。