第30章 花顔涙咲
「ねぇ、瑠璃さんは甘い物好き?
今度一緒に食べに行こうよ」
「茶なら俺が点ててやるぞ」
秀吉が付け加えるように、会話に入ってくる。
「瑠璃は茶も点てれる。お前は必要ない」
瑠璃の代わりに政宗が早々と断る。
「そうなのか。それじゃぁ馬に乗せてやるから、
遠乗りにでも行くか」
「瑠璃は馬に、1人で乗れる。お前は必要ない」
またしても政宗が断る。
「えっ?馬にも乗れるのか!公家の姫さんだろ」
声を上げおどろく秀吉。
「瑠璃様は馬術もとってもお上手ですよ。ねっ」
驚く秀吉をよそに、三成は、涼々と甘い笑みを瑠璃に向けた。
三成に笑顔を向けられた瑠璃は、
微笑みを貼り付け、小首を傾げていた。
(すげぇ困ってる)
三成に対してもう、どうして良いのか分からない瑠璃の雰囲気を感じ取った政宗だった。