第30章 花顔涙咲
考えていると
「政宗…。今更、私を考察しないで下さい。
もう 全部知ってるくせに……」
鏡の中で、髪を纏め1本挿しを入れながら、
瑠璃が恨めし気に俺を見ていた。
「いや…こんな美しいお前、久しぶりに見たなっと思ってさ」
笑って見せると、鏡の中の瑠璃に笑われた。
「完璧、な、私でしょう?」
うふふふ と麗美でいて可愛らしく笑って見せられる。
「読心術も出来るのか?」
「さぁ…私は何でも知っている って」
紅を引いた瑠璃が
「作られていない私は、政宗を始め、
知っている人が知っていれば良いんです」
筆を置きながら、何か自分に言い聞かせるような口調
(何と思われても…大丈夫)
そっと瞳を閉じて開くと、大輪の花の様に笑った。