第26章 弓馬競技会
「玉瑛、貴様への褒美は後日与える。
今日はもう下がって良いぞ」
「そうだな、競技で疲れているだろう。下がって休めよ」
秀吉も信長に続き慰労の言葉を掛けた。
「それでは、お言葉に甘えて、下がらせて頂きます」
断りを入れ立ち上がる瑠璃。
「玉瑛……」
光秀が呼び止める。
「今日は、夜道でなくとも、気をつけて帰れ」
「………」
光秀の珍しく真剣な口調に、真意を測るように目を合わせてから、
「そうですね。光秀様。
姿を眩ませる術でも使えればいいのですが…。気をつけます。」
光秀に笑いかけてから広間を出て行った。
「政宗、玉瑛はいつもあんな風に怒るのか?」
秀吉が切り出した。
「さあな、今日のはそんなに怒ってないと思う」
「は?怒ってないだと?」
強烈な冷気を纏い、狂笑を浮かべた瑠璃の姿を思い出して秀吉は驚く。
「まぁ…怒ってたとは思うが誇張して威嚇してただけだ」
政宗がそう言い
「冷静でしたよ」
と三成が評する。
「確かに、冷静ではあったが…だが…」
秀吉は府に落ちない様子で言葉を濁す。
「秀吉さんったら、変なの〜。玉瑛くん楽しそうだったじゃないですかー。ずっと、笑ってたもん」
美弥にそう締めくくられ、誰も次の言葉を続けられなかった。