第25章 不安な夜に寄添う(R18)
(ほら、またそうやって、無理に笑おうとする。
自分の為には泣かない)
今、政宗の胸にすがって泣くべき時だけれど、
瑠璃には分からないし、出来ない。
それを言っても、きっと「泣いてもどうにもならない」と言って片付けてしまうだろから、政宗も口にはしなかった。
代わりに、軽い口調で瑠璃の境遇を理解したと示す。
「俺がこう言っちゃなんだが、お前の母上、鬼か?」
「あっははははっっ、政宗〜〜」
声を上げて笑う。
(お、ここで笑うのか?)
瑠璃が笑うツボが政宗には今だ分からない。
「そうそう、ハンニャですよ、般若〜。
だから私は、能面みたいになったんでしょうねー」
可笑しそうに肩を震わす。
「…この間の事は悪かったって…」
この間事とは、「能面」と言った事。
「にしても、瑠璃、お前、よく捻くれ無かったな…」
幼少期に愛情が足りなかったり、存在肯定されなかったりすると、卑屈になり、心が歪むことがよくある。
(家康みたいに…アイツも傷を負ってる)