第25章 不安な夜に寄添う(R18)
『そうですか、良く出来たわね』
『すごいわね』
『素晴らしいですよ』
今でも鮮明に思い出される、心の籠らない母の褒め言葉。
まるで、馬鹿にされているような気さえする言い方。
けれどそれもいつの間にか、気にもしなくなった。
(いつも冷たい母の、心のこもった褒め言葉には、裏がある…)
そう、気付く事も出来たから、
(今思えば、悪くない)
瑠璃は心の中で苦笑した。
「母は不公平な人でした。兄達には、
それはそれは、本当に過剰なくらい誉めるんですよ。
私は心から誉められた記憶も、抱きしめられた記憶もありません。それを少し離れた処から眺めていた記憶があります。
…羨ましかったな……」
淋しい記憶。
最後に付け加えるように ポッリ と言った瑠璃の本心。