第4章 光秀逗留
光秀はしばらく滞在する事になった。
と言うか、光秀が居座った。
当人は城に居たり居なかったり、
何処にふらっと出掛けてはふらっと帰ってくる。
昼間、城に居る時はよく、瑠璃の側に居た。
「光秀、瑠璃が気に入ったのか?」
政宗は気になって思わず聞いてみた。
「気に入ったぞ。
退屈しのぎに、外にも連れ出して良いか?」
光秀の気に入った、は率直に気に入った
と言えるかどうかは怪しかったが、
即答した事に政宗は驚いた。
「お前が一緒なら別に出掛けてもいいが…
相馬の流浪人には気を付けろ」
何かしら言ってやりたい気持ちもあったが、
何を言いたいのか、自分でも掴めず、
その事だけ、念を押した。
「出会ったら、城下に来た理由を
しっかり、聞いてやろう」
ニヤリと笑って、光秀は政宗の横を通り過ぎる。