第1章 女神降臨
「何だ⁉︎」
「伊達の援軍か⁉︎」
敵の動揺、その隙を突いて刀を振り、次々に
斬り伏せる。
「くっそぉぉぉー」
自分の声か相手の声か、なんて考える暇もない。
お互い、死に物狂いだ。
死も恐れず向かい来る敵。
それと対峙し、踏込んだ刹那
矢が飛んでくる。
敵兵の背中、首、腕に刺さる。
(渡りに船だ!)
矢に助けられながら、なんとか 斬り捨てる。
その、最中(さなか)、矢の飛来する方向を確かめれば、
遠くに白くはためく着物の裾。
(‼︎ 女…?)
残りは2人。
死は免れた。
柄を握り直すと、間合いを詰め、一気に2人を
斬り伏せた。
倒れゆく2人の間から、矢を放ったであろう
女を見留める。
凛とした立ち姿で、弓を握り、こちらを見つめている。
(天女か、女神が…)
俺は息を飲んだ。
(泣いてるのか……)
頬に涙が零れ落ちているように見えた。
野が焼け、燻る煙りの中、降り立った涙を流す
白い女神。
しばし、焦がれるようにその白い着物の女を見つめる。
(何て……ーーー!)
見つめる女の身体が ぐらり と揺れて
(倒れるー……)
瑠璃は泣きながら弓を下ろすと、
「私……」
と、呟いて意識を手放した。
そうするしかなかった。