第25章 不安な夜に寄添う(R18)
それ程かからず、政宗が筆を置いて、文机を横に避けた。
「終わったぞ。身体、冷えてないか?って
夜着被ってんだから大丈夫かー」
苦笑しながらも、瑠璃を自分の膝の上に引っ張り上げ、前から夜着を掛け直してやる。
「こうしてりゃ、もっと温かいだろう」
「はい」
瑠璃は政宗の温もりを背中で感じながら、
夜着と政宗の腕に包まれて、目を瞑る。
政宗は、優しく瑠璃の髪を梳きながら問う。
「どうした、何があった?」
「……」
「家康に何か言われたか?」
「いいえ……ただ、とても、不安…なんです」
小さな声で言ってから、口を開くと、
初日から今までの事を話す。
それを聞いた政宗は首を傾げた。
「何の問題もないじゃないか。何が不安なんだ?
…しっかし、お前凄いな」
特訓が始まった日から、筋肉痛、落馬の打ち身、
と痛々しく歩いていたのを思い出す。
それでも今日まで泣き言も、愚痴も、嫌な顔さえしなかった。
忍耐力と精神力、集中力は男も顔負けだ。
心から感心する。