第24章 家康の特訓
射駆けは瑠璃も初めて経験するもので、
両手を離して馬に乗るうえ、普段より
僅かに短いとは言え、弓を持ち矢をつがえ、
腕を水平に保たなければならないのだ。
想像以上に難しい。
「上半身は固定!」
「下を見るなっ、落ちる」
矢をつがえる時どうしても下を向いてしまう。
「前を見ろ!」
「駄目ッ、揺れてる」
「しっかり鐙に乗って、脚、締めてっ」
頑張ると言った瑠璃だったが、
自分の余りの出来なさに、苛立つ。
何度も同じ事を注意され憤る。
(情けない…)
毎日のように怒鳴られ、叱咤される事が辛いのではない。
不安になる。
(出来なかったらっ)
自信喪失 でもない。
最初から自信なんて無い、まだその域へ行くための
段階なのだから。
(怖い…)