第21章 呼ばれた男
嘘ではなさそうだった。
「心配するなんて、政宗らしくない」
(私はこんなにもここに居るのに…)
両手で政宗の頬を包むと、背伸びしてそっと口付ける。
「政宗、好き。…大好き…」
いつもは政宗が瑠璃に感じさせてくれる、
気持ちとその安心感。
今日は、瑠璃が囁く。
「何処にも行かない。
何処にも行けないように、今夜は、抱きしめて、離さないで…」
いつも自信に溢れていて、眩しいくらいキラキラして、勇敢で型破りな考えの政宗なのに。
私のことくらいで、そんなに不安を見せるの?
不安にはさせたくないの。
貴方が安心する方法はこれしかないよね?
「政宗の全てで、私はここに居るって感じて…」
政宗の背中に腕を回して、胸に頬を押し当てて目を閉じる。
今日は、御殿中の水仙の香に包まれて
酔ってしまおう……