第21章 呼ばれた男
安土城へと続く大手道には赤緋色の花が咲き始めていた。
それを横目に馬を引いている男が一人。
「城って、この先で合ってんだよな…」
不安そうに登って行く。
ゼーゼーェ……
息が上がり始める頃、ようやく黒金門が男の前に現れた。
「うわぁ、スゲェ」
金箔瓦屋根の大きな黒い門を見上げると若い男は声を上げた。
言葉を失ったまま見上げるていると、門番に問われる。
「貴様、何用で参った」
「…伊達政宗にここに来いって言われたんだよ」
「はぁ?伊達様がお前の様な小僧に何の用で、
ここに来い、なんて言うんだ」
恐る恐る答えた男に、門番がせせら笑う。
ムッとして
「コレ持って、安土城に来いって言われたんだよっ」
証拠だ と言うように政宗の書を突き出す。
門番は書を検めるも、
「これが、本物かどうかも分からん!
駄目だ、入れる訳にはいかん」
突き返される。