第18章 女神の創傷
「それから、お願いがあるの、いい?」
伺う瑠璃に、目で「どうぞ」と促す。
「私がまた、迷ったら、助けて欲しい…」
「当たり前だろ。
やっぱり、お前は聡叡だな」
瑠璃のお願いを聞いて、
政宗は「なーんだそんなことか」という風に、
それでも嬉しそうに優しく笑った。
(そっか…)
政宗は、甘えてくれたら嬉しいと言った。
頼ってくれ、と言った。
それは、表でも裏でもなく、表しかない言葉。
望んでも、泣いても弱くてもいいと言った。
それも表しかない。
(政宗は最初から、そう言っていたんだね。
私が信じられなかっただけで…)
苗字(氏)を聞かれた時『俺はそんなに複雑じゃない』と言っていたその、言葉の全てが今、ようやく解った気がした。