第17章 新年拝賀5(宴の刻)
昼、日中から新年の宴が始まった。
皆、直垂を脱ぎ、晴れ着の羽織り袴に変わっていた。
高座に居た美弥も降りて来て、和気藹々と皆と談笑し、酒を飲んでいる。
美弥は政宗の横にやって来て話始める。
「あのね、それでね、政宗の居ない間にね〜
……ところで、政宗、瑠璃さんはーー…」
「瑠璃、酌をしに来い」
政宗を挟んで隣に居た瑠璃は、信長に呼ばれ行ってしまう。
「ハァァァァーー。行っちゃった……」
それを見送った美弥は盛大な溜め息をついて、あからさまに落胆する。
「なんだ、美弥。俺と話したくて来たんじゃなくて、瑠璃と話したくて来たのか。
失礼なヤツだな」
「ちっがうよっ。政宗とも瑠璃さんとも話したくて…。
実家は何処かとか、青葉城での事とか」
慌てて弁解しようとする美弥。
言い訳じみてるが、これはコレで美弥らしいのだ。
「お前な、実家って…京の藤原氏 って言ったら 京に住んでたんだろ」
聞いてたのか?と言わんばかりの政宗。
「え?そう言う事なの?
何で政宗の所から来たの?
旅の話とか一緒に聞きたかったのに〜」
美弥は瑠璃にコンタクトを取りたかったのだ。
政宗は苦笑する。