第16章 新年拝賀4(女神の涙琴)
「疲れただろ」
「少し?」
「馬鹿を言うな。見てた俺だってかなり疲れたんだ、本人はもっと疲れてんだろ」
「見てる方がハラハラするものです」
羽交い締めにされた格好のまま、政宗の腕の中で膝に座らされる。
「大丈夫でしたかね」
「何のことだ」
「さっきの私です」
いくら、信長が直接褒めてくれても、
やっぱり自分で演じた自分の評価が気になった。
政宗が胸を張って「俺の瑠璃だ」と言えなければ、瑠璃にとって何の意味もない。
瑠璃が褒めてもらいたのは、
他の誰でもない、大切な政宗になのだ。
自分の為だけれど、政宗の為にもしたことだから、政宗に
(褒めてもらいたい…)
それが、1番のご褒美だ。
「皆、白眼剥いてたぞ」
思い出し可笑しそうに政宗が笑う。
「私が公家 下冷泉、藤原の娘だったからですか?」
「いや」
政宗は首を振る。
「んー。では、私が皆の前で脱いだからですか?」
瑠璃が政宗を見上げる。
「あー、それは言うな。思ったより打撃だったみたいだ…」
腹をくくっていたつもりだったが、心が荒れた。