第15章 新年拝賀3 (謁見の刻)
「皆、述べ終わったか。
そうだ、美弥がまだであったな」
「私、ですか⁉︎」
美弥が驚いて信長を見る。
「お前も安土の一員であろう。新年の挨拶をしろ」
わたわたとしている美弥を信長は面白そうに眺める。
「…えーー、はい。
皆さん、明けましておめでとうございます。
昨年はお世話になりました。
今年も宜しくお願いします」
本当に型通りの挨拶。
「身体に気をつけて、無茶な戦いはしないで、笑顔でいて下さい。
私は今年も針子仕事を頑張ります!」
ふにゃっと笑って締めくくる。
「アンタ、本当、捻りも何にも無い挨拶だね」
「美弥らしいじゃないか。針子仕事、根詰め過ぎるなよ」
「ありがとう、秀吉さん」
ふんわりと笑う。
「お前の息抜きには、俺が構ってやろう」
「構うんじゃ無くて、意地悪する気ですよね?光秀さん」
美弥はプゥとむくれて見せる。
「美弥様、今年も私と一緒にお勉強しましょう。字は読める様になりましたから、書けるようになりましょう」
「字はもう、いいんじゃないかな…?」
「いえ、字は読めて美しく書けなければいけませんよ」
甘い笑顔が圧力をかける。
「……頑張ります…三成先生…」
渋々、返事をする。